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仕事に役立つ!NLPを使ったコーチングの手法

 2016/07/10 仕事術
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企業に対してコンサルティングを行う中で、経営者や人事からコーチングやNLP(神経言語プログラミング)という言葉が出てくる頻度が、以前よりも高まってきていると感じます。

NLPは、ビジネスの場だけでなく、プライベートの様々な場面で活用できるため、知っておくに越したことはありません。
しかしながら、そのためにわざわざセミナーに行ったり、多数ある本から最適な一冊を選んで読み切ったりするのは骨が折れる、という方もいるでしょう。

そこで、この記事ではNLPコーチングについて、企業の経営者や管理職に研修を行っている筆者が、NLPについての基本からすぐに使える実践的なスキルまでくわしくお伝えいたします。

この記事を読んでいただければ、NLP初心者でも、正しくNLPを理解でき、コミュニケーションの質を高めることで、人間関係を良好にすることができます。

1 NLP(神経言語プログラミング)とは?

NLP(神経言語プログラミング)とは?

1-1 NLPとはどのような学問か?

NLPとはNeuro(神経)・Linguistic(言語)・Programing(プログラミング)の頭文字で、1970年代にアメリカのカリフォルニア大学に在籍していた、リチャード・バンドラーとジョン・グリンダーが研究をスタートさせた心理学です。

リチャードとジョンの2人が開発していた当初は、セラピーで使うためのものが中心でした。
しかし現在では、その驚異的な効果性を得るために、世界のトップビジネスシーンやスポーツの世界などでも幅広く活用されています。

NLPの開発にあたって2人は、セラピーの分野で非常に有名だった「3人の天才」と称されたセラピストを分析し、誰でも同じような結果が出せるよう共通のパターンを見出し、まとめられていきました。

その「3人の天才」とは、以下の3人です。
・催眠療法家の『ミルトン・エリクソン』
・ゲシュタルト・セラピーの『フリッツ・パールズ』
・家族療法家の『バージニア・サティア』

3人は全く異なったアプローチを行うセラピストでしたが、それぞれが独創的で劇的な成果を出していました。
彼らは、通常のセラピストが何年かけても改善できなかったクライアントの症状を、わずか2時間のセッションで劇的に改善する等、極めて卓越したセラピーを実践していました。
しかし、彼ら自身も、自分達がなぜ効果的なセラピーが出来るのかを理解しているわけではありませんでした。

そこでリチャードとジョンの2人は、この3人の天才達が使う『ことばの使い方』や『ノンバーバル(非言語)の使い方』、そして、『無意識の活用の仕方』を科学的に分析し、体系化し、誰しもが実践で活用できる技法を開発しました。

そしてNLPは近年、日本でも学ぶことがブームとなっていて、幅広い年代層に受け入れられ、学ぶ方が急増しています。

1-2 N・L・Pのそれぞれが指すものとは?

では、NLPのそれぞれの頭文字は何を意味するのでしょうか。

まず、NLPの「N」にあたるNeuro(ニューロ)とは神経、もっと平たく言うと「五感」を意味します。この五感とは、さらに言うと体験のことです。

例えば、BBQという体験は、肉や野菜の味(味覚)と匂い(嗅覚)と、美味しそうな食材の映像(視覚)、肉や野菜の焼ける音(聴覚)、火の近くで暑いという身体感覚(触覚)から成り立っているのが分かるでしょう。

次に「L」にあたるLinguistic(言語)とは、その名の通り「言葉」を意味します。

そして最後の「P」にあたるProgramingは、基本的にコンピュータ等のプログラミングと同じ意味になります。NLPでは、人間は無意識に作られた脳内のプログラミングによって動いていると考えます。

コンピュータのプログラミングというのは、ある「入力(刺激)」と「結果(反応)」が決まったパターンとなっていますよね。
例えば、会員制のホームページ等でご自身のIDとパスワードを入力すると、それが正しければマイページにログインでき、その画面が表示されます。

それと同じように、人間の中にも特定の入力(刺激)に対して、決まった結果(反応)を出すプログラムがあるのです。

分かり易い例として、「ゴキブリが嫌い」というものが挙げられます。
ゴキブリが好きな人は殆どいないと思いますが、クワガタムシが好きな人は一定数いると思います。ちなみに、虫嫌いな私はどちらも無理です・・・

ゴキブリが嫌いな人は、見ただけで寒気がしたり、必要以上に驚いたり、恐くて近づけなかったり、撃退できなかったりしますよね。これは、意識的に決定することではなく、自動的に(無意識的に)身体が反応するものです。

NLPでは、「N=五感=体験」と「L=言葉」が「P=プログラム」を作ると考えます。

例えば、冷静に考えれば、ゴキブリも他の虫と同じく昆虫であり、蚊や蜂のように襲ってくるわけでもないのにゴキブリが嫌いになるのはなぜでしょうか?
それは、小さい頃に家でゴキブリが出た際に、両親や兄弟等の「ゴキブリが出たー!」、「嫌だー、気持ち悪い!」という「言葉=L」を聞いたり、その時に「恐怖感や嫌悪感=N」を感じたりしたことによって、あなたの中にプログラムが出来たからです。

同じように、小さい頃に母親から「物は大事に長く使いなさい」と怒られ続けると、「買った物は捨てずに長く使わなければならない」という価値観を持つようになるでしょう。このような人は、なかなか物が捨てられず、部屋が片付けられない傾向がありますし、平気でものを捨てる人を見ると、怒りを覚えるかもしれません。

こういった価値観の多くは、生まれ持ったものではなく、後天的に身に付けるプログラムです。
プログラムは誰の中にもあり、それらは全て「インパクト(強烈な体験)」と「繰り返し(回数)」によって出来たものです。

そして、「ゴキブリ嫌いプログラム」は、ゴキブリを発見した時やゴキブリについての話を聞いた時等に発動し、無意識にあなたはそれによって動かされます。

ここまで読んでいただいて、「プログラムって、トラウマのようなもの?」と思われたかもしれません。
もちろん、中にはトラウマのようなものもありますが、逆に幸せな気分や豊かな感情を喚起するプログラムもあります。

楽観的な人間と悲観的な人間の違いは、プログラムの違いです。NLPはネガティブなプログラムをポジティブに書き換えたり、幸せになるために必要なプログラムをインストールしたりする手法を提供するものです。

1-3 NLPは何に使えるのか?

これまで、人間は体験=Nと言葉=Lによってプログラムを作っていくとお伝えしました。
それらは全て無意識のレベルにあり、普段自分で意識をしているものではありません。
例えば、幼い頃に階段から落ちて痛かったり、恐い思いをしたりすると、高所恐怖症になります。しかし、多くの人は自身が「なぜ高いところが恐いのか?」が分かっていません。
本当は恋人と観覧車でデートをしたり、富士山に登ってご来光を見たりしたいのに、高所恐怖症のせいでそれが出来ないといったこともあるでしょう。
そんな時に、NLPの手法を使ってセラピーを受けることによって、ネガティブなプログラムを書き換えられたら良いと思いませんか?

また、体験と同様に「言葉=L」は無意識のプログラムに大きく影響を及ぼします。
人間関係の問題のほとんどはコミュニケーションによるものだと言われていますが、普段あなたが何気なく使っている言葉が「自身」だけでなく、「他人」のプログラムにも作用しています。
そこで、「言葉」の使い方を変えることにより、コミュニケーションを変え、良好な人間関係を作り出すことが出来ます。

もしあなたが、コーチングやコンサルティング、カウンセリング等、他者のマインドや行動を扱う仕事をしているのであれば、NLPを使うことによって、クライアントの不安を取り除いたり、モチベーションを高めたりすることによって、クライアントの求める変化を生み出すことができるでしょう。

また、ビジネスの現場では、営業職を中心にNLPが実践されています。営業職の方はとにかく業績をあげることが求められるので、NLPのような心理学でもなんでも、とにかく試してみる!という人が多いようです。

相手との信頼関係を作る技術や、相手の考えていることを読む技術、圧倒的に売れている営業パーソンの能力を盗む技術など、NLPのテクニックを使いこなしているTOP営業もいるほどです。

その他にも、夫婦関係や親子関係等においても、問題の原因の多くはコミュニケーションであり、NLPを使ってコミュニケーションの質を高めることで、関係を良好なものにすることが可能です。

1-4 NLPとコーチングの相乗効果

コーチングは、NLPよりも早く日本で広まりました。

ご存知ない方のために簡単に説明すると、コーチングとはコミュニケーション手法の一つで、対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術であるとされています。

クライアント(対話の相手)に対して効果的な質問を行ったり、クライアントの話をじっくりと傾聴したり、承認したりすることによって、自発的な行動を促す効果が有ります。

ビジネスの現場では、成果主義の導入に伴い目標管理制度が導入されたのに合わせて、上司が部下に自主的に目標を立てさせ、達成を促す目的で広がりました。

ハンガリーのコチで製造された馬車が優れていたことから、馬車自体がコーチと呼ばれるようになり、クライアントを目的地(目標)に到達させることと似ていることからコーチングと言われるようになったという説もあります。
(ブランドバッグのCOACHはロゴが馬車ですよね)

さて、このコーチングを用いて「クライアントに目標達成してもらおう」とした際に、起こる問題があります。それは、例えば以下のような状態です。

・やらないといけないのは分かっているが、それが嫌でしょうがない。
・やってはみるものの、気が乗らない。モチベーションが上がらない。
・いつも同じパターンにはまってしまい変化できない。

お気づきの方もいるでしょうが、これらはまさにクライアントが無意識のプログラムに動かされているからです。

このような状態に対して、仮にコーチがNLPを知らなかったとすると、「なぜやる気が起きないのでしょうか?」「モチベーションを高めるにはどうすれば良いと思いますか?」等の質問をするものの、本人の中に答えが無いため、結局行動出来ないということに陥る場合があります。

よって、コーチングを行う人は、NLPについての知識を習得し、クライアントの中にある無意識のプログラムに気づいて書き換えたり、新しいポジティブなプログラムを作り出させたりする、ということが出来ることが望ましく、それによってコーチングの成果がより一層高まります。

2  コーチングに活かせるNLPの5つのスキル

コーチングに活かせるNLPの5つのスキル

2-1 安心・安全の原則

1-2でゴキブリや高所恐怖症の話をお伝えしました。あなたは「そんなプログラムは邪魔だから作られなければ良かったのに」と考えたかもしれません。たしかに、私達が生きづらさを感じるのは、偶然に出来てしまった無意識のネガティブなプログラムが原因であることが多くあります。

では、無意識は何のためにこのようなプログラムを作るのでしょうか?

その目的は、「安心・安全」の確保です。無意識の本質は本能で、最も強いのは生存欲求です。私たちは本能的に1日でも長く生きながらようとする欲求を持っています。
そして、その生存欲求は「痛み」を避けることと「快(楽)」を求めることにより満たされます。

「痛み」には肉体的痛みと精神的痛み(ストレス反応)があります。
これらは生存することを阻害するものであり、私達の無意識はこれらを体験したときに、それを避けるプログラムを作るのです。
高所恐怖症になると、高いところを避けるようになるので、落下する危険から守られるようになりますよね。

一方、「快」を感じている時は、脳内に免疫効果を高めるホルモンが分泌されるので、長生きすることにつながります。
よって、心地よいことがあったら、繰り返しそれを体験したくなるのです。
ただし、その対象によっては「依存症」を引き起こすことがあるため、気をつける必要があります。

では、脳が考える「安心・安全を得るための重要な基準」は何でしょうか?
それは「よく分かっているかどうか?」です。

例えば、私達は、毎日乗っている通勤電車で同じ区間を移動する時に、緊張することはありません。
どれくらいの時間で到着するのか、途中でどんな駅に停まるのかを知っているからです。

 

しかし、初めて行く場所に移動する時は、事前に入念に経路を調べたり、乗っている際も乗り過ごさないように現在地を確認したりするのではないでしょうか。
日本国内では緊張しない人も、全く知らず日本語も英語も通じない国に行くとなると緊張することでしょう。

つまり、脳は「よく分かっている=安全」、「よく分からない=危険」とみなすのです。
そのために脳は「よく分かっている」状態を作り出そうと、必死に「内部の情報」と「外部の情報」を集めることになります。

これを対人関係に活用するならば、まずは相手の緊張状態を解くために、相手が求めている情報をこちらから提供することです。
例えば交流会等で、知らない相手からいきなり「あなたのお名前は?」と話しかけられるのと、「私は、大阪出身で現在東京都港区に住む、35歳の会社員の山田健一です。今日は主催者の田中さんに誘われてきました。あなたは?」と話しかけられるのとでは、後者の方が答えやすいはずです。

まずは、相手に情報提供し、安心してもらうことを意識して実践してみましょう。

2-2 省略

あなたは普段周囲の方、上手くコミュニケーションが取れていると感じていますか?
言ったことが上手く伝わっていなかったり、理解されなかったり、行動してくれなかったり、逆によく分からないことを言われたり、嫌な言われ方をしたり、といった経験がある方が殆どではないでしょうか。

これらは当然起こり得ることです。
なぜなら、言葉というものは、具体的な事象を抽象化したものでしかなく、具体的な事象、つまり一人一人が体験したもの(五感を使って感じたもの)はバラバラだからです。

仮にあなたが「山」という言葉を聞いたとしたら、どんなことをイメージしますか?
多くの木々が生い茂った山をイメージする方や富士山をイメージする方が多いのではないでしょうか?
ウィンタースポーツが好きな方は雪山を思い浮かべるかもしれませんね。

では、アフリカ人ならどうでしょうか?
サバンナにある、殆ど木の無いはげ山を思い浮かべる人が大半だと思われます。
日本人と同じ山を思い浮かべる方は、恐らく皆無でしょう。
それは、アフリカ人は日本にあるような木々の生い茂った山や富士山を見たことがないからです。

これは極端な例ですが、同じような体験をしているであろう日本人同士でも、互いの過去の体験が違っていることによって、話し手の伝えたいことと、聞き手が理解していることに齟齬(食い違い)が発生していることを前提として理解しておくことが重要です。

話が少し逸れますが、社員教育に熱心な会社が、チームビルディングのために、社員に様々なアクティビティをさせたり、合宿をさせたりするのは、共通の体験を増やすことで相互理解を促進するのが目的です。
(特に最近、この手の依頼が増えています)

話を元に戻しますが、言葉で伝える際に齟齬(ミスコミュニケーション)が発生する三大原因があります。
それは、「省略」・「歪曲」・「一般化」です。

例えば、知らないところへ行く際に、ネットやスマホ等で地図を見ることがあると思います。
では、使い勝手が良い地図とはどのようなものでしょうか?

行く予定の土地には、無数の情報(家の表札、店やビルの名前・・・)がありますが、見易さを考慮すると、目印になるような駅や交差点、大型店の名前以外は「省略」されていなければいけません。
無数の情報を忠実に表現すればするほど、複雑で目的地を探す手間がかかってしまいます。

会話も同じです。「今日、どんなルートでここまできましたか?」と聞かれて、「家を出てまずは左に曲がり、30m直進したところの○○と言う交差点で右折し・・・」等と説明をしていたら、詳しいようで却って分かりづらくなってしまいます。

だから、私達は「家から5分歩いてJRの○○駅に行き、○○線に乗ってきました」というように情報を「省略」して伝えますよね。
これが「省略」です。
この「省略」によって起こるミスコミュニケーションをどのように防ぐのかについては、後ほど説明します。

2-3 歪曲

前述の「省略」と同様、「歪曲(わいきょく)」についても、地図を例に説明したいと思います。
まず、球形の地球儀と平面の地図を思い浮かべて下さい。地球儀の方が、平面の地図よりも地球の形を正確に表現していますよね。

ただ、使い勝手を考えると平面の地図の方に軍配が上がります。
しかし、平面の地図は本来の球形をゆがめた(歪曲した)ものです。このように使い勝手という観点では、正確な情報よりも「歪曲された情報」の方が役に立つことがあります。

地球儀以上に、実際の土地つまり「現地」には、たくさんの情報があります。
例えば、その土地の「視覚情報(見える建物や人、その色や大きさ等)」、「聴覚情報(聞こえる電車や人の声等の音)」、「身体的感覚(地面の感触、湿気、風等)」です。
これらの膨大な情報が「現地」であり、そこには完全な情報があります。

しかし、複雑すぎて、誰かに伝えるには適していません。
よって、コミュニケーションにおいて私たちは、情報をあえて「省略」し「歪曲」して伝えることで使い勝手の良いものにしています。

その一方で、「現地」を「地図化」して伝えることの弊害もあります。
「新しい住まいに引っ越そう」と、ネットや不動産屋で情報を見たうえで、期待をして物件を見に行ったのに、全然イメージと違って気に入らなかった・・・という経験はないでしょうか?
これは、地図化される際に大事な情報が「省略」されていたり、都合の良いように「歪曲」されていたりするためです。

実は、私達が普段行っているコミュニケーションでも、このような良くない「地図化」が行われています。
例えばビジネスの現場であれば、「あなたが言っていたことと全然違うじゃないか!どういうことだ!」というクレームになりかねません。

これが「歪曲」です。
この「歪曲」によって起こるミスコミュニケーションをどのように防ぐのかについても、「省略」と合わせて後ほど説明します。

2-4 一般化

ミスコミュニケーションの原因の3つ目が「一般化」です。
我々の脳は、パソコンのCPUと同じように、情報処理の量が膨大過ぎるとオーバーヒートしてしまうため、見えているはずのものを見えなくしたり、複雑なものをシンプルに解釈しようとしたりします。

例えば犬恐怖症が「一般化」にあたります。
一度犬に噛まれて恐い思いをすると、自分を噛んだ特定の犬を恐がるだけでなく、世界中の全ての犬が恐いと思うようになります。
あらゆる恐怖症は「一般化」であると言われています。

例えば、「朝は早く起きるべきだ」、「老人は敬うべきだ」、「子供は親に従うべきだ」等、一人一人の価値観(観念・ビリーフ)も「一般化」です。
価値観の正体とは、体験を抽象化してシンプルな法則として信じていることです。

しかし、少し考えれば分かるように、実際に全ての犬が噛んでくる危険な存在ではないですし、前の日にとても疲れることが有った場合、朝早く起きなくても良い日もあるでしょうし、残念ながらとても敬えないような老人もいるはずです。

私達の物事に対する理解は、過去の体験(記憶)が基盤であるとお伝えしましたね。
つまり、価値観とは頭の中の古い枠組みなのです。

このように、私達は全く新しいことですら、自動的に(無意識に)価値観と言う古い枠組みで理解しようとするため、(その方が楽なので)その枠を大きく超えた出来事が起こると苦しむことになるのです。

「絶対に○○である」、「誰でもみんな○○」、「いつでも○○」や「○○であるべきだ」、「○○でなければならない」のように、例外なく全てに当てはまる表現を使う人は「一般化」が強い傾向にあります。

不要な価値観を多くもつ人は、自分自身がそれに捉われてしまうだけでなく、周囲にもそれを求めることによって、ミスコミュニケーションが発生し、生きづらさを感じてしまいます。

これが「一般化」です。この「一般化」の防止策についても防ぐのかについても、後ほど説明します。

2-5 メタモデル

ここまで、ミスコミュニケーションの三大原因である、「省略」「歪曲」「一般化」について説明してきました。

では、いよいよそれらをどのように防止するのかについてお伝えします。
その方法の一つが「メタモデル」と呼ばれる技法です。
これまで、相手に伝えたい体験の多くが、省略・歪曲・一般化されて言葉になると説明しました。
「極端な思い込みがなく」、「欠落がなく正確な情報」は表面的な言葉の裏に隠されています。

そこで、質問を使って、正確な情報を取り戻していきます。
これがメタモデルという問題解決の方法です。全部で12パターンありますが、全て覚えようとするのは大変なので、まずは本質を理解することが重要です。

「省略」に対しては、抽象的な言葉がないか?
「歪曲」に対しては、偏った思い込みがないか、因果関係や証拠はあるか?
「一般化」に対しては、世界をシンプルに見ようとする思い込みがないか?
をチェックします。

▼メタモデルの種類(参考)

■一般化
1.可能性の叙法助動詞…無意識のうちに限界を定めている。
2.必要性の叙法助動詞…~すべきだ、~すべきではない、と決めつけているため。
3.普遍的数量詞…全て、いつも、誰でも、決して~ない、一つも~ないなど、
逆説的に制限を与え、すべての可能性を肯定するか、否定するかによって、例外を認めることがない。

■歪曲
4.等価の複合観念…二つの異なる文章が同じ意味になっている。(X=Y)
5.前提…何かの前提が隠されている。
6.因果…原因と結果の関係がある。
7.憶測…他人の気持ち・考え方を決めつけている。

■省略
8.不特定名詞…誰が?いつ?何が?どこで?誰に?などが省略されている。
9.不特定動詞…具体的にどのように行われたのかが示されていない。
10.比較…比較対象が省略されている
11.判断…評価・判断基準が省略されている。
12.名詞化…プロセスを静止した名詞化してしまう。

特に日本人同士の会話はハイコンテクスト文化と言われ、聞き手の能力に期待するあまり、以下のような傾向があります。

・直接的表現より単純表現や凝った描写を好む
・曖昧な表現を好む
・多く話さない
・論理的飛躍が許される

よって、はじめからミスコミュニケーションが起こり易い状態なのです。

そこで、普段意識しなければ情報が抜け落ちて、曖昧なままで進んでしまう会話において、質問を上手く使うことで、それを防止していくのです。

例えば、子供が「みんな新発売のおもちゃを持っているから、僕にも買ってよ!」と言ったりしますね。
これには「省略」が起こっていますので、「8.不特定名詞」を用いて「みんなって具体的には誰と誰なの?」と質問することで、「実際には2人しか持っていないけど、皆に自慢したいからおもちゃを欲しがった」ということが分かります。

ここまで紹介してきた以外にも、NLPのスキルやテクニックはたくさんあります。
有名なものではVAK=視覚 (Visual)聴覚 (Auditory)触覚 (Kinesthetic)などもそうですね。
よりNLPについて詳しく学びたい方は、資格講座について調べてみて下さい。

3 まとめ

これまでお伝えしてきたように、NLPは非常に実践的で使えるスキルです。
NLPを上手く活用し、あなたの人生がより豊かになるために、この記事がお役に立てれば幸いです。

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ライター紹介 ライター一覧

西 諒

西 諒

1981年10月28日生まれ 兵庫県出身
関西学院大学卒業後、SCSKに入社するも研修期間中に退職。リクルートで営業を経験した後、人事コンサルタントに転身。
人事制度の構築・運用や人材育成の研修、人材採用等、中小・零細企業から上場企業まで50社以上を支援。講演依頼も多く、登壇回数は150回以上、受講者は2600人を超える。
経営者も社員も、“幸福感”と“やりがい”が感じられる会社づくりのために、日々尽力している。

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